黄金町

● 2003.11 神奈川県横浜市 黄金町。  

板子一枚下は地獄、通りを横町へとわずかに入ればそこは苦界。そして私はただの通りすがり。

外へ出ると、あたりの風景が先日の昼間にも増して殺気立って見え、目に入るすべての物陰から、誰かが私を監視している様な気がした」(車谷長吉赤目四十八瀧心中未遂」) 想えば、その様な空気が好きで、安物カメラを携えて方々をほっついた。「陋巷趣味」という言葉を川本三郎の書物で憶え、それを演じる自分に酔うてみた。

黄金町は(略)大岡川京浜急行のガードに沿った極端に細長い町で、京浜急行は戦前からすでに高架式だったということである。終戦後、ガード下はまず住居として使われるようになり、しだいに飲食店に変わっていった。そんな店の中から女性が客を取る店が現れ、いつしかそれが主流になっていく。いわゆる青線と呼ばれるものである。 木村聡「消えた赤線跡放浪記」より)

● 2008.09 浄化された現在。(「日毎に敵と懶惰に戦う」様方)