Annus Mirabilis (2008-04-27〜2008-12-27)

気が滅入ることが多くなり、ここぞとばかりに相米慎二の映画「台風クラブ」「ラブホテル」(共に1985年08月公開)を見返したところ、余計に気が滅入ってしまった。女子とはしゃいだ過去は今となっては虚しさを引きだすばかりだし、汚れた天使に救われるあてもない。ただみじめになるばかりである。そうした最中の04-27の暮れ方、競馬中継を見終えてから酒宴に出かけるまでの半端な時間に、はてなのアカウントを取得した。"urbansea"とはフランスの競走馬の名である。wikiをブックマークしていきたくなってのことで、とりあえず「ロックバルーンは99」をBMしたのだが、以来、それを利用するにつれて はてなダイアリーを読むようになり、それらより印象深いエントリ(今年の記事に限る)をまとめる。
聖書をもとにした福田恒存による「一匹と九十九匹と」なる評論がある。99匹の羊の群れを救うのが政治であり、その群れからはぐれた、すなわち政治によって救われない1匹を救済するのが文学である…てなものだが、私はその一匹が好きである。"はしごたん"を知るのは夏のことであるので、それ以前の騒動をあまり知らないのだが、このひともそれであるように想う。

この村はいつだったかドライブ中にたまたま見つけた
     バブー・ザ・ベイビー 「6畳の孤島」(2008-08-14

おそらく、この作品に出てくる生徒たちを観ていてグッとこなかったり、何かしらの答えを見出そうとする人は「立派な大人」。オレの場合は、彼らの行動を見ていると"終わりの始まり"を思い出して、いまだにちょっと浮き足立ってしまう。そういう意味では、この作品を中学生のときに体験しておいて良かった。まだまだ"終わりの始まり"なんて見えてこないうちに出会ったからこそ、あのびしょ濡れの裸踊りに感情移入することができたのだ。
     IMITATION GOLD 「vol.218 特集・『台風クラブ』」(2008-01-22

でも一人の、あきらかに大きく、道を踏みはずした人間に対して、あいつアホじゃね鬼畜生、馬鹿馬鹿なんてまったくの、他人事として言い切れる人間なんて、そんなにいないだろ。
     平民新聞 「毎晩夜通しおきていて」(2008-06-14

だけど俺は10代・20代と一度も恋愛を楽しんだ過去を持たないのだ。30代になった俺が、はじめて得た本当の幸せのように感じられる今の不倫相手に一生懸命尽くしていることは、果たして本当に非難されるような酷いことなんだろうか…
     heartbreaking. 「ろくでもない世界」(2008-07-12) *ID削除のためブックマークにリンク

死んだときお前は何キロだったんだ。 願はくは、病気でやせ細っていてほしくないぜ。 それで、天国では好きなだけ食って、太ってくれ。さらば巨漢の名スプリンター。
     関内関外日記 「さらばヒシアケボノ」(2008-11-19)

松永会長の穏やかさの裏に秘められた“狂気”と、入門してくる女性たちの「輝きたい」という“欲”。それが全日本女子プロレスの両輪であり、だからこそあのキチガイじみて面白い景色が繰り広げられていたような気がしてならない。あの景色は全女という団体による“一代芸”だったってことなんだろう。
     〜あなたも一週間で20cmに!〜 Nakamyura Recital 改 「全日本女子プロレスという団体について」(2008-05-05)

素朴な感情から、ただ兄や弟に会いたくてきている人々も多いのだから、市井の中にある靖国という意味合いが抜けてしまい、多面的な「靖国神社」の存在を伝えるまでにはいたらないのではないか。
     土曜の夜、牛と吼える。青瓢箪。「映画「靖国 YASUKUNI」動的な場所で静的なカメラがみつめたものとは」(2008-05-02)

しかし同じ基準で言うならば俺も見捨てられてしかるべき存在なのであり、もし俺の精神が再び以前のように破綻してしまった時、周囲の人間は俺を確実に見捨てるのだということがよくわかった。
     死滅病棟 「ネットカフェ難民にもなれなかった男の末路」(2008-11-16) *他社

本当にどうにもならない人間はどうにもならないんだなー、社会の受け皿なんて小さいものだしどこにも行く場所がない人間は出てくるよなー、結局僕はいろんな人間を見捨てて生きていくんだなー
     phaのニート日記 「荻野はコンテンツとしてとても面白かった」(2008-11-19)

支那そば屋の佐野実っていうひとは、昔から見た目と喋り方がどうもピッチャーくさいと思ってたんだけど、本を読んでみたら、高校時代に野球部で投手をやっていて、元巨人の小俣進と同期だった、なんてことが書かれている。思わず膝をうったね。世の中「もしや?」と思ったことには、必ず答えがあるもんだ。
     pithecanthropus collectus(蒐集原人) 「新ジャンル“ラーメンエロス”」(2008-10-04)

どんなヒトもいつかは自立した人間になって、立派になれるんだと夢を持っていた。しかし、それはない。それはなかった。オレもハロワで仕事を見つけられず、家に帰っていた。時を重ねなれば自動的に立派になれるんだというエスカレーター式な幻想はない。
     AnonymousDiary 「十三年ぶりに知恵遅れの同級生と会った」(2008-12-11

[写真ブログ]
水蛇の背 「写・67」(2008-03-17) / 「写・67」(2008-10-20)*1 
豆腐の間借り 「指輪交換会」(2008-06-23)*2
裏庭日記 public 「干し柿日和」(2008-11-17)*3
バブー・ザ・ベイビー 「日曜日」(2008-07-23)*4

*1: 寒風を感じさせる荒涼とした写真が多いブログだけれども、なかでもこの2枚が好き。

*2: やわらかな、仕合わせ。

*3: 「なんてすばらしいくりかえしなんだ」(2008-03-05)なる平民新聞のエントリタイトルを想い浮かべた。

*4: 白が、まばゆい。