三橋歌織
(細かい状況は)分からない。ただ一つびっくりしたのは、朝、すごく天気がよかったこと
彼が生きているときは、天気が良くても暗く見えていた
母が『明けない朝はない』と言っていて、『そんなの絶対、嘘』って思っていたけど
彼(祐輔さん)を殺してから、怖くて仕方なかった代々木公園がきれいに見えた
そのとき、(自分は)笑っていた*1

ビートたけし
あの、おれ、新宿で、大学を辞めようって決心して、いいやもう学校辞めた、って想ったときの、空の青さはたまんねえって、いまだに言うんだけど。あん時に完全に生まれ変わった…*2


母親からの仕送りで生活をし、そのような身分でありながらも馬券を買っていた私が、いわゆる自活を始めて最初に水道橋の場外馬券売り場にいった日、あれは晴れやかであった。天気が晴れていたかどうかはおぼえていないけれども。

それから曲がりなりにも映像を生業とし、恥をかき、地を這い続ける。そんなこんなの十余年を経て、映画の初号をあげ、東京現像所から調布駅に向かう、その時見た空は、もちろんただの暗闇であった。

*1: 第11回公判にて読み上げられた、精神鑑定の際の録音を書き起こし。このような現象は短期精神病性障害の症例とのこと。上記引用は産経新聞社会部「法廷ライブ『セレブ妻』夫バラバラ殺害事件」(産経新聞社)347頁より

*2: TV番組「ビートたけしが新解釈 ニッポン人の現代史」より。HDに残っていたのだが、おそらく08年暮れから09年年始にあった番組。