2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

Annus Mirabilis (2008-04-27〜2008-12-27)

気が滅入ることが多くなり、ここぞとばかりに相米慎二の映画「台風クラブ」「ラブホテル」(共に1985年08月公開)を見返したところ、余計に気が滅入ってしまった。女子とはしゃいだ過去は今となっては虚しさを引きだすばかりだし、汚れた天使に救われるあて…

麻布廃町

地下鉄神谷町駅から桜田通りをロシア大使館方面にむかう途中で、ふいに脇に逸れると、異質の空間が広がった。ぶらぶらするうちにそこらは森ビルの再開発により買収が進められているのだと気づき、写真を撮ってまわる。屋外は人が住んでいた時のまま放置され…

小石川の墓

地方者の私が"小石川"なる地名を憶えたのは、青木玉「小石川の家」によってであったろうか。そのせいかもしれないが、日傘をさす着物姿の女が風呂敷包みを抱えてとことこ歩いている、そんなイメージを持ってしまう。(←小沼勝「生贄夫人」のオープニングがこ…

どうでもいいことについて / 阿部和重「グランドフィナーレ」

どうでもいいことについて 私の祖母は老いて外出できなくなると、一日中洗濯物の乾き具合を気にするようになった。ほっておけば乾くものを、日がなそれを気にして過ごし、庭に出ては乾き具合の確認を繰り返すのであった。阿部和重「ニッポニアニッポン」を読…

中野武蔵野ホール

中野ブロードウェイの混沌ぶりにもまして、そこの横町界隈がこれまたどうかしている。青葉(ラーメン)や陸蒸気(炉端焼き)などの飲食店が蝟集する傍らに西友もあれば駅前ソープもあり、はたまた黒木香が飛び降り自殺をはかったりもした地帯である。で、中…

生きていくのがつらい日は / 杉作J太郎と池玲子

第一部☆杉作J太郎 過日、学生の頃から今日までつき合いのあるやくざ者と「杉作J太郎はいったいいつみうらじゅんさんに逆転されたのだろうか」という、どうでもいい議題について語り合ったのだが、いったいいつ逆転されたのだろうか。90年代後半、夜の放送…

おれのロッコー&ミッキー

なじる男 大学に入り、はじめてそこに行った帰り、道端で小松方正に出くわした。東京ってすげえと想うた。その後、名画座に通い込むうちに、小松方正*1と同様に、やたらと刑務官や刑事といった官憲の役が似合う男に惹かれるようになった。戸浦六宏である。薄…