うじうじした私の好きな唄 研ナオコ「花火」 / 中島みゆき「シュガー」
- 宝島社の正月用新聞広告・1999年 博報堂時代の前田知巳による。*1 その他、宝島社の広告はこちら。*2
Vシネ「F.ヘルス嬢日記」(加藤彰・1996)にて、風俗店の個室で有線放送の研ナオコ「花火」が流れ、女と男が聴き入るシーンがある。(いかにも久世光彦が好みそうなシーンであるが、久世はこの作品を見ただろうか) 原作は佐伯一麦「一輪」で、そこでは「はぐれそうな天使」(来生たかお)*3となっているのだが、これは研ナオコの唄にして正解だろう。*4
ふんで、amazonにてこの作品の中古の有無を調べようととしたらば…猫猫先生絶賛レビューがありますた。 (中古は有マス)
☆☆☆☆☆ 知られざる名作だなあ, 2006/9/6 By 小谷野敦 (東京都杉並区)
佐伯一麦「一輪」を原作とするものだが、実に切ない「パリ、テキサス」みたいな味わいの名画である。荒井晴彦脚本がいいのか、真弓倫子がいいのか金山一彦がいいのか、みんないいのである。 (amazon)
↑↓をつなぐ話。研ナオコは「ひとりぽっちで踊らせて」「あばよ」「かもめはかもめ」など、中島みゆき提供の楽曲を数多く唄っているのであるが、そのきっかけは、当時研ナオコの所属事務所である田辺プロの田邊昭知(元スパイダースで小林麻美の夫)が、中島みゆきのもとを訪れ、直に頼み込んだのだという。*5
その中島みゆきの「シュガー」は私の好きな曲。「♪人生は2番目の夢だけが叶うものなのよ ほら だってあの人はあたしに残らない」と来たもんだ。あたいの場合は2番目のそれすら叶やしませんが。で、これは子持ちストリッパーの唄なのであるけれども(歌詞に従えば、米国の)、「♪二文字 砕けた 呼び込みのネオンは おかげで 故郷のつづりと似てしまった」とある。これについてこちらによると、「PARAISO」(スペイン語で天国)が二文字砕けて「PAR□IS□」となり、すなわちパリなのだそうな。なるほどなるほど。まあしかし私としては気仙沼とか牛窓とか、そのあたり出身の女を勝手にイメージしていただけに……。世の中には知らずにいる仕合わせがあるものだ。
ちなみに冒頭に宝島社の広告は、このネオンの話にちなんでいるのである。めでたしめでたし。