京都市と、まるで関係のない話。

○ 2007-01 京都府京都市
その女は四年であったこともあり、あまり学校へは来ず、そのために顔を合わせるのは久しぶりであった。女の顔を見るなり、まぶたに目がいった。何か違うとの直感により、まぶたに目がいったのである。要するに整形である。就職期に軽い美容整形を施すのが流行った時期であった。立ち話をする間、どうしても目がいってしまう。女は女で、私が整形に気づいていると気づいているのだが、気づいていることを気づいてないふりをしていた。あの時の女の表情に、私は多くのものを見た。

隠そうにも隠しきれない、そんなもののみが語り得るリアリティがある。それは欠けた指だったり、妊娠腺の跡だったり、注射針の痕跡だったり。うっかり見てしまったならば、見ないふりをしながらもついつい目がいってしまうもの、それに気づかれたことを気づかないふりをするようなもの。それは表情や身体に限るまい。

これは、隈研吾の話にも通じることであるし、甲斐庄楠音の画にも通じることであるし、ひょっとすると京都にも通じることかもしれない。