you can't always get what you want


○2010_08 川口オート(埼玉県川口市


東陽片岡の世界を求めて、川口オートへ。暮れ方、西川口、金網。アンドレ・ブルトンは「解剖台の上のミシンと蝙蝠傘の偶然の出会いのように美しい」と言ったらしいが、暮れ方の西川口の金網はもっと美しい。金網と言ったらなんだ。ラッシャー木村か。そうだそんな感じだ。袋小路、出口なし。私のALWAYS三丁目の夕日。死人が出るほどの盛夏にしてこの金網にしがみつく焦燥感、これにはしびれる。

おまけにスタンドの裏手には勝手に水浴びしている男もいる。外国人労働者もいる。生気を失った顔をしたジャージ姿の女もいる。講談調の予想屋、それを50人くらいの男どもが聴き入っている。今までに行ったどんな公営発券場よりもここは魅力的である。ここに競合するのは川崎競輪場とかそんなもんではなくて、むしろ寿町とかそっちだろう … とさえ想う。とはいえ新宿昭和館を想い出したりもする。どうだ最高だろう。きみんちからは遠いかもしれないが、チャリンコ頑張って漕いで、行った方がいいよ、id:黄金頭。

わたしたちは蜃気楼に向かって移動していく。わたしたちの人生もまたほかのみんなの人生と同じように無駄に費やされていく。 (チャールズ・ブコウスキー「死をポケットに入れて」105頁)

こんな調子の、愛すべき、無情の世界



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