三崎/愛を乞うひと/美咲


三浦市海外町


品川から京急線に乗ったのはいいが、降りるのが面倒になり、終着駅までいく。この3ヶ月に休んだのはわずかに一日のあり様で、心を壊す。そのせいか偏頭痛がひどく、気力なく、予定の駅で降りることもままならない。ビルから飛び降りる度胸はないが、京急線で終着駅まで居つくくらいなら、私にも出来る。

なにもない駅につく。三崎口。駅前に海が広がっているのかと想っていたが、そんなことはなかった。仕方なしにそこからバスに乗り、漁港へ。マグロ料理を喰わせる店の並ぶ界隈をほっつき、買い物センターのようなところで、田舎の老夫婦に干物十枚を送る。一方、私は缶コーヒーを呑んで、会社にいくべく、東京に戻る。


そういやあ、映画「愛を乞うひと」の、原田美枝子が数十年ぶりに母親と邂逅する理髪店、あのロケは三崎だったはず。 …などと想い出したりしたが、あとの祭り。


三崎ついでに美咲の話をしよう。

その昔「クリスマスイブ」(1990年)というドラマがあった。このドラマでの準主役である清水美砂の役名が「望月美咲」、現在巷にあふれる「美咲」のルーツはここにある。明治安田生命の調査 によると、その年生まれた女の子の名前ランキングで、1983年から8年連続1位だった「愛」を蹴落とし、件のドラマの翌年1991年、それまでベスト10になかった「美咲」が突如1位に躍り出て、以降 1996年まで6連覇を達成する。(95年まで「愛」が2位)。それ以前、「みさき」とは姓としての「三崎」であった。それがドラマをきっかけに女の子の名前として日本の新生児を席巻することとなったのである。

なおタレントの伊東美咲さんの本名は「智子」。これは伊東さんが生まれた1977年の第1位である。