牛窓


牛窓岡山県瀬戸市
牛窓を知ったのは、川本三郎「日本すみずみ紀行」(昭和62年刊行)によってである。この書籍は川本の町歩き・紀行もののなかでもいちばん好きなものかもしれない。これにも下の写真にある「ニコニコ食堂」は登場し、川本は「おでんと小さなイカの煮物をさかなにビール」を呑む。その後、遊郭から転業した旅館で一泊した後、広島の大崎下島の町・御手洗に向かう。ここもかつては遊郭の町であった。一泊した後、以下のように川本は〆る。

お婆さんの作ってくれたワカメの味噌汁がおいしかった。朝刊を見ると、広島県プロ野球のオープン戦、広島と西武の試合が行われたとある。春はもうすぐである。朝食をすませ、船着場まで行く私をお婆さんが見送ってくれた。こんどの旅はなんだかお婆さんにばかり会ってきたようだ。  川本三郎「日本すみずみ紀行」現代教養文庫21頁