おれも「おい ママ 来たぞ」と言ってみたい

CM制作会社にはディスクという女子がいて、困るのは、その娘が名字でなく 下の名前で呼ばれている場合である。ゆう子さん・あい子さん・りょう子さん・けい子さん・まち子さん・かずみさん・ひろ子さん・まゆみさんとか。 …… おいおいこれは中島みゆきの「あの娘」に出てくる名前じゃないか。いやそんなことはよくって、中途入社した会社でディスクの女子を下の名前で呼んでいる場合に、どのタイミングで名字から下の名前で呼ぶのに切り替えるかに悩むのである。私はyahooのオンラインゲームコーナーに行こうとも、オセロの対戦を名乗り出られないような意気地なしである。そんな私が「ゆう子さん」なんて気やすく呼べるはずがないではないか。

こういう場合、女子の方から私を「ちゃん付け」で呼んでくれれば、おお助かりだ。「北小路ちゃん、また変な領収書まわしたでしょ?」てな具合に。そうすると私だって「ゆう子さん、6番に城南電気の宮路さんから電話です」と言えるようになるに違いない。わかったか、ゆう子さん。

このように意気地なしの私だが、スナックの女主人を「ママ」と呼ぶのもこれまたハードルが高いぞ。そもそもスナックって何なんだ。六本木・芋洗坂丸源ビルに連れて行かれて、スナックで呑まされるほど人生の苦痛はない。「じゃあ」と言って上司が勘定をする。やっと帰れるのかと想う。いや違う。1フロア下の他店舗に移動である。結局、焼き飯喰わされたり、研ナオコの「あばよ」を唄ったり、ジャンケン大会したり、なんだかんだを繰り広げながら、1フロアずつ降りていく。ブルース・リーの映画みてえじゃないか。

みうらじゅんさんが、SPEEDが解散する際に島袋寛子が「小さなお店を持ちたい」と語っていたのをたいそう感心しておった。こういう場合の「小さなお店」とはスナックのことなのだろうか。とすると、芋洗坂の地獄の塔は少女たちのドリーム☆タワーなのか。ちなみにソープランドチェーン「トゥルースグループ」のHPより、総勢628人のプロフィールを確認してまわったところ、「将来の夢」の問いに「お店を持ちたい」系の回答は57人(9%)であったが、「小さなお店」と答えたのは0人であった。徒労!(08-11-30現在)

山田なおこ 写真集『スナック』

山田なおこ 写真集『スナック』

本日、書店で写真集を物色。「スナック」はひたすらスナックのママ。10年かけて撮られた177人のママ・ママ・ママである。 「じいちゃんさま」梅佳代らしい ほがらかさにみちていてお勧め。おれも梅佳代みたいな孫娘が欲しい。いや娘でもいいけど。もちろん嫁でもいいけど。百歩譲って姉でもいいけど。 「TOKYO FLOAT」は「TOKYO NOBADY」「東京窓景」の中野正貴による東京水景。川下りしながら、橋や高速高架を撮っていく。近ごろ横浜クルージングが流行っているけれども、東京でもあるようで、「東京エスカレーター」さんのところに素敵な写真あり。ちなみになぎら健壱 「東京の江戸を遊ぶ」(ちくま文庫)ではカヌーで神田川下りをしている。
じいちゃんさま

じいちゃんさま

TOKYO FLOAT

TOKYO FLOAT

なお表題は猫猫先生の名著「俺も女を泣かせてみたい」をもじったもの。これに収録の「ブルジョア左翼と貧乏保守」は超絶お勧め。

俺も女を泣かせてみたい

俺も女を泣かせてみたい