洲崎☆RGB
洲崎を舞台にした文芸作品といえば、芝木好子「洲崎パラダイス」と言うことになろうか。著者も女性であるが、女の女に対する容赦のなさに心が冷える小説である。それにて「かつて洲崎遊廓と呼ばれた一郭はぐるりが堀割で囲まれ島になっている」とあるように、遊廓の「廓」が"囲われた区画"の謂いであることを実感できるのもここの特長。また、水景の町でもあることも楽しめる。
最近の洲崎を舞台にしたものには、松浦寿輝の短篇「ひたひたと」がある。これは芥川賞受賞作を表題とする「花腐し」の単行本に載るために、芥川賞作の"ついで"みたいな扱いだが、おすすめである。
吉行淳之介は鳩の町(東向島)を「原色の街」と呼んだのだが、この洲崎も原色が鈍く残る街である。
- 東京紅團「洲崎遊廓跡を歩く」
- 作者: 松浦寿輝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/07
- メディア: 単行本
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